[2016年 02月 13日]
歩いても歩いても霧は晴れなかった。わたしはきみの照らすカンテラの光を頼りにきみの後ろを歩いていった。
あるとき、きみは立ち止まった。
きみはニンゲンとはなしているようだった。きっと近くにまちがあるのだろうとわたしは考えた。
しばらくきみとニンゲンははなしつづけて、わたしは待っていたのだけど、きみが最後に何かをいうと、ニンゲンは背をむけてどこかに行ってしまった。
「きみといっしょにいてはいけないといわれたよ」ときみはいった。
「なぜいっしょにいてはいけないの?」とわたしはたずねた。
「きみはキカイで、ぼくはニンゲンだから。キカイとニンゲンはちがうんだ」と隣を歩くきみはすぐにこたえた。
わたしは「さみしい」と考えた。でも、「さみしい」という言葉の意味を思い出すことができなかった。何故だろう。とも考えたが、それもすぐに回路の隙間へと消えていった。
[2016年 02月 13日]