2.キカイリュウの見た世界 「世界の最果てにて」


 それがいつから存在していたものなのか、わたしたちは誰も知らない。空を突き刺そうとしているのか、鋭く尖った機械の皮膚の山が、冬の森のように砂だらけの石の上に棒立ちになっていた。
 それの周りには荒野しかなかった。
 ずっとずっと昔には、それから機械もニンゲンも生まれていたと古い記録にあったけれど、今ではそこには機械もニンゲンもいなかった。
 ここが世界のはじまりで、ここが世界のおしまいだった。
「せかいにかんげいされていないんだね」ときみはいった。わたしは首を傾けて、少し大きくなってしまったきみを見た。
「もりはニンゲンをゆるさないね」ときみはいった。わたしはこたえられなかった。
「きかいはニンゲンをゆるさないね」ときみはいった。わたしはこたえられなかった。
「たくさんみてきた」とわたしはいった。
「ニンゲンのいていいばしょはどこにもなかったね」ときみはいった。
「ニンゲンはこのせかいにいきていていいのかな」ときみはいった。わたしはこたえられなかった。
「ぼくはほんとうにいきているのかな」ときみはきいた。
「いきているよ」とわたしはすぐにこたえた。

「わたしもきみも、いきている」


[2016年 02月 13日]

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