「結末」

 きみが死んでしまったことを知った日、わたしはキカイの墓場で座り続けていた。
 世界は色で満ちていた。霧の向こう側にあったものをわたしは全て観測していた。こころの内側に想定以上の負荷がかかり続けているのを感じたけれど、それでもわたしは色々なものを見続けていたかった。
 色々なものをみて、色々な色を見て、わたしはきみとの旅を今まで理解できなかった色々なものを再理解していった。
 えがおを。なみだのいみを。かなしいを。さびしいを。
 きみは何を思っていたのかな。
 知りたいよ。
 だけど、きみはもういない。
 かなしいと感じた。さびしいと感じた。その度にどんどんこころが軋む音は大きくなっていった。
 なんだか眠くなってきた。これはきっと、もう目覚めることがない夜。
 視覚が、色がたくさんついたまま、急速に範囲を狭めていく。

 ――そうして、動かなくなったひとつのキカイだけが残った。












「――ぼくは、ここにいるよ」


絵:つばめ 文:黄鱗きいろ

[2016年 02月 23日]

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