「結末」
季節は巡り、広がっていく「森」の裾野。無秩序に生い茂る草原の只中に、ひとりのキカイリュウは座り込んでいました。
小さなキカイリュウでした。何度も複製された、粗悪な、量産型の、取るに足らないキカイリュウでした。とうの昔に役目を終えた金属の体は傷だらけで、その表皮にはところどころに苔が産し、ぐらぐらと不安定な頭部にはトカゲ鳥が巣を作っていました。
それでも牙の集合したような形状の腹部は、中にいる何かを抱きしめているかのように堅く閉じられていました。
きみが守っているのは、小さな小さな、白い骨。
――これは、ふたりがここに至る物語。